デリバティブ 取引は日商簿記一級の範囲の中でも非常に難しい論点で受験者を悩ませる論点です。その中でもオプション取引はイメージが掴みづらく,かつ計算も難しいので苦手意識を持っているの人も多数います。現に過去問でもデリバティブ取引が問われた回は難しい内容となっております。
今回はデリバティブのオプション取引についてまとめます。
デリバティブについて理論ではこのように定義されております。「デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務は時価をもって貸借対照表価額とし評価差額は原則として当期の損益として処理する。」
その中でオプション取引は特定の価格で物を買うもしくは売る権利を指します。例えば買う権利の場合,将来価値が上がりそうだと思えば,現時点の価格で買い,将来価値が上がったタイミングで売るいうこと。その差額分が収益となります。オプション取引は基本的にヘッジ目的で行うことが試験でも多いです。本業でのリスクをヘッジするということです。基本的には本業で為替の影響で損失が出そうだと思えば,その逆のオプション取引をおこなっておくことでリスクをヘッジする。そして差額分だけが為替差益になります。基本的にはこの考え方で仕訳を覚えてしまえば,試験でも十分対応できるのですがさらに深い論点があります。それが貨幣の本源的価値と時間的価値です。
本源的価値とはオプションの対象物の相場と行使価格の差額です。要はオプションを購入してから売却するにつれて大きくなります。
時間的価値は権利の売り手がオプションの価格に上乗せした部分を指します。こちらは本源的価値とは逆にオプションを購入した時が一番大きく,時間が経つにつれて減少します。本源的価値と時間的価値は相反した関係にあります。この関係を理解していればあとは仕訳の流れを暗記することで対応できるようになります。
少し仕訳を説明するとオプション購入時は時間的価値が100%,本源的価値はこの時点では0%です。ここから徐々に時間的価値が減り,本源的価値が増加します。基本的な仕訳は
オプション購入時
通貨オプション / CASH
決算時
通貨オプション / 繰延ヘッジ損益
商品など輸出日
通貨オプション / 繰延ヘッジ損益
繰延ヘッジ損益 / 為替差益
基本的な流れはこのようになります。問題の指示によっては為替差損益ではなく本業の売上に合わせて売上になる場合もあります。
このような考え方をイメージしながら学習してみて下さい。